講演会「オマーン湾を臨む西アジアとアラビア半島の関係」が開催されました

2017-07-12

 

初夏の爽やかな暑さの中、オマーンスルタン国大使館にて、ムシェフリ公使をお迎えし、一般財団法人日本エネルギー経済研究所常務理事中東研究センター長 田中浩一郎先生の講演会が5月18日に開催されました。

 

「オマーン湾を臨む西アジアとアラビア半島の関係」と題された講演は「不安定が枕詞となって久しい中東」、「インド洋から眺望するユーラシアとアラビア半島そしてアフリカ」、「環インド洋経済圏の可能性と課題:オマーンの位置づけ」、そして「日本の戦略的関心を考えよう」という4部構成でした。

“アラブの春”と民主化運動、イラン核合意、同盟国(サウジアラビア、UAE、米国)の独自の外交、トランプファクター等々、政治外交問題からインド洋の東南アジアからアフリカに至るヨーロッパ覇権の歴史、そして現代のインドと中国が競合する舞台へという経済的市場の変化まで、幅広く解説がありました。

 

一方1994年のネルソンマンデラ提唱のIORA構想における課題にも触れ、オマーン海(特にイランとオマーン)はホルムズ海峡からのエネルギー資源の搬送ルートとして重要であり、2010年からの海底油田開発、及びLNG開発合意の進展が注目されること、また中国の一帯一路含む全方位的戦略に対し日本は重要航路の押さえにおいて戦略の遅れがあり、対策が必要と田中先生は指摘されました。インドとの協力を模索する日本だが、チャーバハール湾開発で、中国もインドを上回る規模で進出。モルディブでのサウジと中国の拠点構築も日本のリスクになるとの懸念を示されました。

今回、中東研究の第一人者である田中先生の講演を通じ、最新の中東情勢と国際関係の理解を深める貴重な機会となりました。