講演会「久々のオマーンを訪ねて」が開催されました

2023-05-14

 

2023年度の総会に合わせ、第1回講演会が、広尾の駐日オマーン・スルタン国大使館で5月10日(水)にて開催されました。講師はオマーン・クラブの会員であり、元・駐オマーン日本大使の森元誠二様です。森元様は、東京大学教養学部で客員教授を務め、『知られざるオマーン』など、オマーンに関する著作も発表なさっています。故カブース国王には、4回面会した経験があり、特に王位継承に関しての質問に「心配していない」との応答があったことを印象深く覚えているというお話から、御講演が始まりました。

カブース国王への拝謁は、ときに1時間を越え、流暢な英語で中東情勢や統治への考え方を聞くことができたと言います。特に「アラブの春」が中東地域を席巻した頃には、王位継承について、「少し突っ込んだ質問を投げかけてみたんです」と森元様は話します。その時の応答が、先ほど挙げた「心配していない」とのものでした。継承ルールを定めていること、何より統治王族の合意のなかで適切な人物が決まるだろうという自信が垣間見えたそうです。

実際に、2020年1月に即位したハイサム国王のもとで、オマーンが政治的にも経済的にも安定し、日本との関係もさらに深まっている点が紹介されました。サイイド・バドル外務大臣やラフマ・マフルーキー高等教育大臣など、有能な人物を官僚に登用し、「オマーン・ビジョン2040」のもとで、行政機構や法律面での改革が進められています。また、オマーン経済が回復傾向を見せ、国際的な格付けも「安定的」へと引き上げられたことは、将来への明るい材料であると指摘されました。石油価格の変動を注視する必要はありますが、財政的な安定は、オマーンに進出する日本企業にとっても良い兆しになっていると言います。実際に、オマーンで操業する日本企業は増加し、今後も両国の経済関係は進展していくだろうとの見通しが語られました。

 

お話の後半では、この3月に教養学部長を団長とする東京大学の訪問団がオマーンを訪問した様子が紹介されました。スルタン・カブース大学やマスカト大学、GUtechなど、オマーンの各大学との協議に加えて、オマーンの最新の様子も写真で紹介され、聴衆の旅情をそそりました。特に森元様は「スルタン・カブース・グランドモスク」内の色彩感覚に触れ、改めて故カブース国王の才覚に言及する形でお話を終えました。

       

懇親会の場では、会員同士のオマーンへの思い入れやエピソードが朗らかに交わされ、久々の対面での交流をみな楽しんだ様子でした。