イベント情報

日本オマーン学生交流会2024が開催されました

2024-11-25

1116(土)東京・中野区の成願寺にて日本・オマーン学生交流会が開催されました。両国の若い世代の相互理解と育成を目的に始まったこのプログラムは、成願寺さんのご好意で交流会会場と宿坊を提供していただき、毎年境内での合宿を含む二日間行われています。

今年はオマーン人留学生6人と日本人参加者12人、あわせて18人が集まり、ジョーンズ会長の挨拶後、ディスカッションで幕を開けました。参加者たちは二つのグループに分かれて自己紹介を行った後、オマーンと日本の文化の違いや最近の社会情勢で関心があることなどを一人ずつ発表し、活発な意見交換が行われました。

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およそ1時間に及ぶディスカッションでの内容を発表した後は、同じ会場で書道体験を実施。日本人学生が留学生に筆の持ち方や墨の付け方、そして半紙の使い方などを説明し、留学生たちは黒板に書かれた「日本」や「オマーン」という言葉を見ながら半紙に筆を滑らせていきました。初めて毛筆を手にとったオマーン人からは、「力の加減が難しかったが、自分の名前をカタカナや漢字で書けて嬉しい」との声があがり、達成感あふれる様子がひしひしと伝わってきました。

                                                 

 

その後の夕食では、お寺から徒歩15分ほどのハラールレストランへ。異国情緒あふれる雰囲気の中、スパイスの聞いた羊肉料理などを囲みながら食事を楽しみ交流を深めました。その晩の成願寺での宿泊は、留学生には勿論のことお世話係の日本人学生にとっても稀な体験でした。

                                        

二日目は国会議事堂訪問。中野坂上から赤坂見附へと地下鉄で移動し、荷物を駅のコインロッカーへ預けてから国会議事堂まで徒歩で10分ほど。現地でもう一人留学生が加わり、この訪問を手配してくださった石川参議院議員の奥様や秘書の方も参加されました。偶然にもこの日は「議場公開」の特別日にあたり、通常は上から眺めるだけの天皇陛下のお席、議長席や大臣席、速記者席なども間近に見学できました。議事堂の資材は3点を除いて全て国産を基本に建築されたそうで、正面入り口付近には各都道府県の代表的な木が植えられていました。議事堂内部と外部の見学で歩いた歩数はなんと9000歩だったとか。その後皆で疲れた脚を休めランチと会話を楽しみました。

天候にも恵まれたこの日は遠方から参加した留学生達も帰路の途につき、プログラムは終了しました。

以下は9月に来日したばかりの大学院生Maliha さんの交流会参加の感想です。 (翻訳はこちら)

I would like to express my heartfelt gratitude to Ms. Kyoko Jones, the president of the Japan Oman Club, for her kind invitation and for providing such a wonderful opportunity. It was a great pleasure to meet all the organizers and participants of the Japan Oman Club cultural exchange meeting.

Over the past two amazing days, I had the chance to connect with many Japanese students who share a strong interest in Arab culture, particularly in Oman. We had enriching discussions and exchanged experiences about both Omani and Japanese cultures.  Additionally, I tried Japanese calligraphy, which includes kanjihiragana, and katakana. This was another wonderful experience that I thoroughly enjoyed.

Additionally, I had the privilege of meeting Japanese students from the University of Tokyo for Foreign Languages who had previously been exchange students at Sultan Qaboos University. I was deeply impressed by their fluency in Arabic and their dedication to learning the language. Their efforts have inspired me to start learning Japanese as well.  The first day concluded with a dinner and an overnight stay at Joganji Temple, a unique and memorable experience that I would love to repeat in the future.

On the second day, we had an interesting opportunity to visit the National Diet Building, made possible by the kind assistance of Mr. Hirotaka Ishikawa, a member of the House of Councillors and of our Club.  This entire experience was truly enriching and amazing, thanks to the incredible efforts of everyone who organized and supported the event. I sincerely thank you all and deeply appreciate your hard work.

Maliha (Kyoto University)

講演会「オマーンの地質探訪」が開催されました

2024-11-10

10月15日、2024年第3回講演会がオマーン大使館で開催されました。講演は、小笠原正雄博士による「オマーンの地質探訪 オマーンの自然景観を造った地質的背景」です。

                                                    

小笠原博士は、国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センターで、長年、地質と鉱物資源に関する研究をされた方で、2012年の日本・オマーン国交樹立40周年記念行事として、産業技術総合研究所地質標本館での特別展の企画も務められました。

小笠原博士は、地球の成り立ち、大陸や海を形造った地殻変動、さらにアラビア半島の形成から、オマーンに見られる地質的な特徴を解説されて、オマーンの景観が造られた背景、そしてそれが地質学的にいかに貴重なものであるかを、地球の歴史をさかのぼり、詳しく解説してくださいました。

プレートテクトニクス(理論)に拠ると、固い地殻は流動する上部マントルに載って移動するので、それらを併せてプレートとして扱うそうです。現代では15程度のプレートに分かれているそうですが、46億年前に地球ができて以来離合集散を繰り返しているそうです。現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸、アラビア半島、マダガスカル島を含んだ巨大な大陸であったゴンドワナ大陸という超大陸が、今から2億年ほど前から分裂を始め、6500万年前にはアフリカ、南米、インド、オーストラリアの各プレートが分かれたと考えられています。そして、約4000万年前にアラビアプレートが形成され、アラビア半島とアフリカ大陸が分離したのだそうです。

オマーンの地質は、その成り立ちから7つのユニットに分かれるそうです。これらの地層をイメージでとらえると、古い本が下にあり、その上に新しい本が積み重ねられているのですが、「オフィオライト」層では本棚が倒れて、一部の本が上に乗っているような状態に近いそうです。

             

このオマーンに分布する「オフィオライト(ophiolite)」は、1億年前(白亜紀後期)のマントル由来の岩石からなるもので、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際、海洋プレートの一部が大陸プレートに乗り上げて、地表面に現れてしまった部分と考えられています。海洋プレートは、数種類の岩石が層になっていて、深海の堆積物からなる堆積岩、マグマが冷えて固まってできる玄武岩、マントルの上部にある橄欖岩などからできています。このオフィオライトはマスカット近郊の海岸線に沿って約550kmにわたって露出しており、これは世界最大規模となるそうです。ここでは海底〜上部マントルまでの海洋プレートの断面、岩石の組み合わせと層構造が観察できるそうで、世界中の地質学者がオマーンを訪問するそうです。

オフィオライト中の特徴的な景観の一つに枕状溶岩があります。これは、玄武岩質のマグマが海底に噴出し、玄武岩溶岩が流れ、その上に新たな玄武岩溶岩が重なって、枕のような形になるため「枕状溶岩」と言われています。オマーンではたいへん保存状態の良い枕状溶岩を見ることができるそうです。

橄欖岩が分布するところは、ドライな環境のため植生がなく、更に岩石の風化が進まないため、人によっては「火星のような地形」と表現されるそうです。なお、橄欖岩は、二酸化炭素の吸収岩石として脱炭素ビジネスの事業対象として近年大きな注目を集めているそうです。

また、石灰岩がオフィオライトを覆って分布している場所では、素晴らしい景観が見られるそうで、マスカットの東側にある海岸は石灰岩の景勝地となっており、小笠原博士は良くここを訪れては、日没までいらっしゃったそうです。

 

最後に、私達の足元・地底はまだまだ未解明で、多くの神秘に包まれています。地球の中のマントルにある橄欖岩は、地球で最も多く存在している石にも関わらず、地下深くにあるため、私達はほとんど見る事が叶いません。オマーンにあるオフィオライトは、地球の深部を直接見たり触ったりできる貴重な場所だそうです。

筆者は、オマーンを訪れた時にはオフィオライトを見渡して、心静かに地球の成り立ちに思いを馳せてみたいと思いました。

講演後は大使館のご厚意で出されたコーヒーとデーツで、小笠原博士を囲んでの懇親会へと続きました。

レストラン 「ラ・メンサ ジャスミン」にて サマーパーティが開催されました

2024-09-22

8月22日の猛暑の中、日本オマーンクラブ恒例のサマーパーティが開催され、会場には多数の方々が集まりました。特別ゲストとして、Hatem Al Yaqoubi臨時大使ご夫妻をはじめ、オマーンクラブ会員とそのご家族やご友人、早稲田大学にオマーンから留学中のHunaida Al HinaiさんとAisha Al Hashimiさんも出席されました。アラビア語をスルタン・カブース大学で学んでいる日本の大学生3名も参加し、多様で沢山の方々の交流の場となりました。

                   

ジョーンズ会長のご挨拶後、久枝譲治元大使の乾杯のご発声とともにドリンクとお食事を頂きながら美味しく楽しい交流が深まります。そして、会員の石川良男さんとお仲間の音楽ユニットタロウさんによるウクレレ演奏と華麗な歌声は、会場の雰囲気をさらに和やかにし、花を咲かせました。有名なヒット曲や懐かしいミュージックは耳になじみ素晴らしい空間となりました。

皆様お待ちかねの恒例のクイズ大会では、柴田芳彰さんによる詳しい解説があり、楽しみながらオマーンと日本について多くのことを学ぶことができました。クイズの成績優秀な回答者には、オマーンの蝋燭立て、コーヒーポット、フランキンセンスや、オマーン産デーツとドライフルーツセットなども用意され、とても盛り上がりました。

         

このような素晴らしいサマーパーティを行ってくださいました遠藤名誉会長、新村事務局長をはじめ企画・準備された皆様、そして司会進行を務めて,くださった玉澤恵理さん、皆様お疲れ様でした。ありがとうございました。

(小画像はクリックすると拡大します。)

オマーン大使館にて講演会「オマーンとイラン」開催

2024-07-08

 

斎藤貢元大使

2024年7月3日水曜日、14時よりオマーン大使館において、駐オマーン・スルタン国並びに駐イラン・イスラム共和国特命全権大使を務められた齊藤貢様による講演会「オマーンとイラン」が開催された。約60名の聴講者が集まり、中東地域に注目が集まる今、その関心の高さを改めて示すこととなった。

齊藤大使の話は、古代からオマーンとイランがペルシャ湾(アラビア湾)を挟んだ隣国として戦火を交えつつも交流が盛んで、イラン・イスラム革命後、他のアラブ諸国がイランを警戒、対立する中でもオマーンはその友好関係を維持してきた事実から始まった。

2002年に発覚したイラン核開発問題以降も、オマーンを介してイランと米国の交渉は行われており、記憶に新しい2023年のイランとサウジアラビア、UAEの関係改善、イランに拘束された外国人開放交渉もオマーンが仲介したと言われており、このことがオマーンの国際的地位を高めてきた、と言う。

一方、イランと米国の対立は、米国が後ろ盾となったシャー(王)独裁体制がイラン・イスラム革命で倒されて以降、米大使館占拠人質事件をはじめ大変に根深いものがある。地域の覇者としてイスラム革命を輸出したいイランと民主主義を唱える米国が対立する中、2023年10月ハマスによるイスラエルへの越境攻撃をきっかけに、イスラエルによるガザ侵攻が始まり、ハマスを支援してきたイランとイスラエルの間に緊張が高まっている。その後もイランの代理勢力とイスラエルの衝突など「闇の戦争」が続いたが、イスラエル軍機(イスラエルは認めていないが)による在シリア・イラン大使館への攻撃により「闇の戦争」の不文律がついに破られたと指摘された。

さらに講演の終盤、話題はイラン最高指導者ハメネイ師の後継者が、故ライシ大統領の事故死により白紙に戻ったことと共に、7月6日のイラン大統領選・決戦投票に移った。齊藤大使は「保守派が油断した点と、改革派ペゼシュキアン氏が現政権への不満の受け皿となった点で票が割れ、決選投票に持ち越した」と分析し、「閉塞感をもつ有権者が投票ボイコットをせず、投票率が上がれば改革派が勝つ可能性もある」と付け加えられた。

講演会直後の7月7日未明、イラン大統領選・決戦投票の結果が出た。ペゼシュキアン氏が、改革派としては19年ぶりに大統領に当選したのだ。投票率は49.8%。過去最低だった第1回投票の40%を大きく上回り、齊藤大使の予想通りの結果となった。まさに機を得た講演会だったと言えよう。

 

2024年度の総会・講演会が開催されました

2024-05-27

 

5月16日、オマーン大使館にて2024年度日本オマーンクラブの会員総会が多数の会員ご出席の下開催されました。

ブサイディ大使閣下

総会は新村事務局長が進行され、冒頭にアルブサイディ大使よりご挨拶をいただきました。引き続いてのジョーンズ会長の挨拶後、プロジェクターを利用した総会本題に入りました。各議題は正面のスクリーンに映し出され、議題紹介、担当理事による説明、質疑応答、議決へと進み、最後に改選された役員が紹介されて総会は滞りなく終了しました。

 

 

 

総会に続いて大川真由子教授(神奈川大学国際日本学部)による「オマーンの最新事情」と題した講演会が行われました。大川先生は、今年2月末に2週間にわたりオマーン現地の調査をされたばかりで、まさにホットな情報に触れられる貴重な機会となりました。

講演は、2020年に即位したハイサム・ビン・ターリク・アール=サイード新国王のリーダーシップによる新体制と国際化に伴う、オマーンの政治経済と社会制度の変化についてのお話から始まりました。若手人材の雇用対策や、今までは家族で介護していた高齢者の社会的なサポートなど、現代日本とも共通する課題があります。新王室は、長子相続を明文化し、近代化・国際化が進む中でSNSで直接情報を発信しています。それに伴って王妃や皇太子の存在感は高まりを見せています。例えば文化面では王妃の影響を受けたファッションが広まっているとのことです。また急速な近代化とSNSの普及と並行するように、初婚年齢の上昇、恋愛結婚や法改正による国際結婚の増加などの傾向も見られているそうです。

  

大川真由子教授

最後にガザ侵攻に対するオマーンでの反応で講演は締めくくられました。。オマーンでは大規模なデモ等は行われないものの、オンラインでの抗議やイスラエル・欧米企業の製品や店舗に対する不買運動とサウジアラビア製品への置き換えなど静かな抵抗が見られたそうです。

米国産に置き換えられたサウジ産清涼飲料

盛りだくさんな内容でしたが、現地で撮影した写真やSNSの著名な発信者の様子も提示され、オマーンの「今」をリアルに感じることができる講演でした。

なお、大川先生は2014年4月以来、10年ぶりにクラブでの講演にご登壇いただきました。前回はオマーンの家庭に実際に滞在したご経験をもとにしたお話でした。この10年の間には、50年近く在位した前国王の崩御と新国王の即位という大きな出来事があり、社会も国民の価値観も大きく変容している様子が印象的でした。

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