イベント情報
首都圏と関西で「イフタールの会」
日本オマーンクラブでは毎年ラマダン(断食月)に、日本で学ぶオマーン人留学生を招いて「イフタールの会」を首都圏と関西の二ヶ所で開催しています。ラマダン中は、ムスリムの人たちは日の出から日没まで一切の飲食を絶ちます。日中の断食を終え、最初に食べる食事が「イフタール」です。ムスリムの人たちは日没の祈りを捧げた後、家族や親戚、友人などとイフタールを摂りながら、団欒のひと時を過ごすのです。毎年およそ1ヶ月続くラマダンですが、今年オマーンでは3月12日に始まりました。
首都圏:
オマーンクラブでは、母国から遠く離れた日本で暮らすオマーン人留学生にくつろげる環境でイフタールを提供し、また、日本人メンバーとお互いの国や文化に関する理解を深めてもらう交流の場として、3月31日(日)に東京・渋谷区にあるアラビア料理レストラン「ゼノビア」で東京地区の「イフタールの会」を開催しました。
1日の断食を終えて午後6時過ぎに参加したオマーン人留学生たちは「ラマダン・カリーム(恵み多きラマダンを!)」と挨拶を交わし、日本人参加者と共にイフタールの会が始まりました。最初にデーツを一口ずつ口に運びながら、徐々に体を慣らしてゆき、料理が運ばれて来るのを待ちました。
その後間もなくしてテーブルに運ばれてきたのは、パセリを主に使用したさっぱりとした風味のサラダ「タッブーレ」と、ひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」、羊肉と牛肉の詰め合わせ「クッべ」、茹でた羊肉とバスマティライスにヨーグルトをかけて食べる「マンサフ」、そして羊肉、牛肉、鶏肉の串焼きとサフランライスが添えられた「ケバブ」です。
日本人参加者たちは、普段口にする機会が少ないアラブ料理に舌鼓を打ちつつ、オマーンでの主食や、特別な時に振舞われるご馳走、そして日本ではいただきますという表現がアラビア語ではなぜ「ビスミッラー(神の御名において)」と言われるのかなどと、主に文化を中心とした幅広い話に花を咲かせていました。
参加者の中には、4月1日から東京都内での大学院生活を迎える留学生もいて、「ゴミを捨てようと思ったら表示が日本語で理解できず、そのまま部屋に戻ろうとしたところ親切に教えてくれた日本人がいて感動した」という、文化や言語の壁に直面した苦労と人の優しさに触れられたエピソードを聞くこともできました。
また、連休を利用してオマーンへ旅行する予定の日本人参加者は、留学生たちに現地でのおすすめ観光地やレストランなどの情報を聞き、気温が4月時点で30度を超えると聞いてとても驚いていました。
およそ3時間続いたイフタールは幕を閉じ、レストランを後にした参加者たちは駅に向かう途中で連絡先を交換し、「マア・サラーマ(またね)」と挨拶を交わし、再会を約束しました。
日曜日の夕方、異国情緒あふれる場所で文化交流の機会とイフタールを提供した日本オマーンクラブの心温まる「イフタールの会」は、たいへんに意義深いと再認識した次第です。
関西:
ラマダーン月も終盤に差しかかった2024年4月2日宵、桜に包
オマーンからの留学生2名と日本オマーンクラブ会員3名でトルコ
マスカット出身のヒダーヤさんは、この春にめでたく京都大学経営
広島大学の修士課程で経済の勉強にいそしむマーリーヤさんは、な
会話のなかで共通の知り合いがいることが判明するなど、”オマー
4年ぶりにオマーン大使館で祝賀感謝会
ようやく春めいて来た3月1日、「オマーン大使館祝賀感謝会」が4年ぶりに開催されました。
このイベントは、日頃から大使ご夫妻をはじめとする外交官の方々や大使館職員の方々には大変お世話になっており、日本オマーンクラブとして感謝をお伝えする場として2013年以来毎年開催して参りました。同時に大使館の皆様と会員同士の親睦も目的としております。
祝賀感謝会当日は、受付を済ませ「くじ」を引いて、「くじ」で指定されたテーブルへ参加の皆さんが向かわれました。各テーブルには、大使、大使館の方々、職員の方々がお一人ずつ同席をされ会員の皆さんと親交を深められるような配席となりました。
司会は会員の半澤彰さんが務められ、何と日本語とアラビア語による司会で進んでいきました。オマーンクラブ会長のジョーンズ享子さんより開会のご挨拶で始まり、モハメッド・アル ブサイディ大使閣下のご挨拶のあと外交官の皆様と大使館スタッフが紹介され、クラブから大使館の方々に、感謝の気持ちを込めて記念品が贈られました。
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プレゼンターは理事の柴田芳彰さんと久保田郁子さんのお二人。大使ご夫妻への贈り物は、震災復興の願いも込めて石川県で作られている「九谷焼のデミタスカップ」(北斎の大波と赤富士のデザイン)を。外交官、職員の方々には「豆皿」が贈られました。皆さんとても喜んでくださり、4年のブランクが一気に無くなるとても温かな雰囲気となりました。そのあと、オマーン国を紹介するビデオが流れ、会員の皆さんはオマーンを訪れたいと思われたに違いありません。
各テーブルでは、オマーン国の世界遺産の多さ、豊かで美しい自然、日本並みかそれ以上に良い治安の話など様々な話で盛りあがっていました。しばらく歓談しているとお待ちかねのランチタイムです。
メニューは、大使館でお料理教室を開催してくださる大使夫人のアイシャさんが考えてくださったとのこと。残念ながら体調を崩されてしまい当日はご欠席でしたが、開催前日まで準備をしてくださったそうです。感謝の念に堪えません。
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お料理はメインホールの隣の部屋にセットされていました。今回のメニューは、
「アラビア風ドレッシングの野菜サラダ」「フムス」「ピタパン」「ババガヌーシュ」「アラビア香味の魚料理と肉料理」「チキンカレーや日本米のご飯やサフラン入りのお米料理」が出されていました。デザートには「パンプリン」や「デーツ」、もちろん定番のオマーンコーヒーには、カルダモンとローズウオーターが入っていました。彩も美しく、美味しくて、皆さん何度もおかわりに足を運ばれていました。
おなかも落ち着いて、コーヒーのおかわりも底をついたところ、大使が各テーブルを回られたり、会員の皆さんも各々のテーブルを離れ、自己紹介をしたり、写真を撮ったり、親睦を深められていました。
「宴もたけなわではございますが」と半澤さんのアナウンスがあり楽しいひと時も終わりに近づきました。閉会のご挨拶は、オマーンを誰よりも愛し、オマーンに尽力をされた、オマーンクラブ名誉会長の遠藤晴男さんでした。最後に1本締めで、4年ぶりの「オマーン大使館祝賀感謝会」が幕を閉じました。
あっと言う間の1時間30分でしたが、皆さん楽しい時間を過ごされたと思います。
いつもながら、大使館のスペースをご提供くださる大使閣下、準備をしてくださる大使館の方々、職員の方々に改めてお礼を申し上げます。
今回は51名の会員が参加されました。次回は更に多くの会員の皆さんとお会いできることを楽しみにしております。
講演会「2024年の中東情勢を考える」が開催されました
2024年2月28日、オマーン大使館の厳かな雰囲気の中、中東情勢を考察する講演が行われました。パレスチナの現状を解説する講演者は、東京大学大学院総合文化研究科の鈴木啓之准教授で、会場にはパレスチナ情勢に関心を寄せる多くの参加者が集まり、多少緊迫した雰囲気が漂っていました。
冒頭アルブサディ駐日オマーン大使の強いメッセージが紹介されました。「現在ガザ地区で起こっている事は許し難い」「平和という言葉と行動が伴わなくてはならない」との言葉は、中東情勢が世界的な課題であることを強く意識させられるものでした。
時代を遡り、100年前の第一次世界大戦中のインフルエンザ・パンデミックでの経験に触れることからご講演は始まりました。当時、志賀重昂は「これから世界の情勢は関ヶ原だ」と述べ、中東情勢を「世界的川中島」と表現し、白人と有色人の間の分断を懸念していました。イギリスによるヨルダンとパレスチナの分割から時を経て、2017年末にトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と宣言し5年後に対立が爆発したことなど、写真やVTRを交えながら中東の歴史的背景が詳細に語られました。
その後、鈴木准教授はガザ地区の現状に焦点を当てられました。『10.7』ハマスのイスラエルへの空爆から約5ヶ月が経過し、イスラエル軍によるガザ民間の病院・学校・国連施設への攻撃が繰り返され、多くの犠牲者(ガザの死者3万人、負傷者7万人)が出ているなど、未曾有の人道危機が続いている現実が提示されました。加えて、国際社会や周辺国は足並みが揃っていないことに触れられ、グローバルサウスVS欧米の様相を呈し、国連安保理の決議が出来ず終結への道筋が立たない状況とのこと。
また、鈴木准教授は人道支援の重要性についても言及されました。ガザ地区では、飢餓や感染症が蔓延し、衛生状況も最悪の状態にあると指摘されました。具体的には25万人が呼吸器疾患に苦しみ、安全な水さえも不足し10万人が下痢に苦しんでいる深刻な状況であることに加え、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出停止(国連職員の『10.7』イスラエルへの空爆関与発覚による)により国際支援が絶たれる懸念を強調されました。
さらに、周辺への負の波及効果もあり、イスラエルによるレバノンでの戦闘の拡大や、イエメンでのフーシ派に対する米軍の軍事攻撃などが中東全体に更なる混乱を招いているようです。中期的な影響として、中東和平の前提の崩壊、中東世論の「揺り戻し」/米主導による「中東再編」の行き詰まり懸念が益々広がっているとのこと。鈴木准教授は、「この人道危機が早く終わって欲しい、停戦しなければもっと最悪を更新し続ける」と国際社会に停戦を呼びかける重要性を強調し、講演は警鐘と共に幕を閉じました。
講演後は大使館のご厚意で出されたコーヒーとデーツで、鈴木准教授を囲んでの懇親会へと続きました。
年頭のご挨拶
4年ぶりに日本オマーン学生交流会
オマーン建国記念日の11月18日、コロナ禍で休止せざるを得なかった当クラブ主催の日本・オマーン学生交流会が4年ぶりに再開されました。両国の若い世代の相互理解と育成を目的に開始されたこの交流プログラムは、一晩の合宿を含む二日間行われ、プログラム開始時より東京中野区の成願寺さんのご好意で会場を提供していただいています。
プログラムはディスカッション、日本文化体験、ハラールレストランでの夕食会、その日の夜は境内での合宿と続き、翌日早朝の座禅、朝食そして首都圏の特定地域訪問または観光から構成されています。
今年も首都圏のみならず広島や関西からも参加したオマーン人留学生10名と、日本人学生や元学生10名が会場となった長寿閣で初顔合わせをしました。司会は会員で学生交流会コーディネーターの玉澤恵理さんです。ジョーンズ享子会長から、禅寺で交流会を行う目的をお伺いした後、早速ディスカッションが始まりました。
参加者達はグループに分かれてそれぞれ自己紹介をした後、オマーンと日本では家族構成や食文化、冠婚葬祭の制度がどう異なっているのかといったトピックや、日本に暮らす留学生たちが感じた文化的な驚きについて共有する等、和気藹々とした雰囲気の中で始まり、様々な意見交換が活発に行われました。
途中の休憩時間には、ジョーンズ会長手作りのオマーン国旗をデザインしたデーツケーキや、参加者が持ってきてくださったお菓子等を皆で楽しみました。住友商事マスカットオフィスから帰国中の近藤立弥さんも出席され、少し気の早いサンタクロースさながら、大きな袋を背負って登場されました。中から取り出したのは何と大袋のオマーンチップス。交流会のために遠路はるばるマスカットから持ってきてくださったのでした。オマーン人留学生達から大きな歓声が上がったのは言うまでもありません。休憩後、グループ毎にディスカッション内容の報告が行われ、学生達はすっかり打ち解けた様子でした。
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続いては茶道体験です。日本人参加者も留学生達と共に書院に正座し、巌先生とお弟子さんのお点前を拝見。先生の英語によるご説明とご指導の下お茶をいただきました。京都から来た男子留学生は京都に4年ほど滞在しているものの、お茶の体験は初めてだととても感激した様子でした。
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書院から外へ出ると陽も落ちて夕食の時間です。参加者達は徒歩20分ほどのハラールレストランへ向かいます。日本人参加者の中にはハラール料理が初めての人もいて珍しい料理を留学生に聞きながら食事を楽しみ交流を深めました。
その晩留学生達は境内の部屋で畳の上に布団を敷き合宿、翌朝は6時に起床して部屋を清掃、7時には本堂に集合して座禅です。坐禅を初めて体験した留学生の中には気持ちがとても落ち着き、もっと長い間座禅を続けていたかったという人もいた程でした。
朝食後はオマーンクラブの柴田理事の案内で浅草へ。遠方から来た留学生には珍しい場所でしたが、都内在住の学生達は既に行ったことがあることが判明。皆で浅草散策とランチを楽しみ、プログラムは終了しました。