イベント情報
年頭のご挨拶
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4年ぶりに日本オマーン学生交流会
オマーン建国記念日の11月18日、コロナ禍で休止せざるを得なかった当クラブ主催の日本・オマーン学生交流会が4年ぶりに再開されました。両国の若い世代の相互理解と育成を目的に開始されたこの交流プログラムは、一晩の合宿を含む二日間行われ、プログラム開始時より東京中野区の成願寺さんのご好意で会場を提供していただいています。
プログラムはディスカッション、日本文化体験、ハラールレストランでの夕食会、その日の夜は境内での合宿と続き、翌日早朝の座禅、朝食そして首都圏の特定地域訪問または観光から構成されています。
今年も首都圏のみならず広島や関西からも参加したオマーン人留学生10名と、日本人学生や元学生10名が会場となった長寿閣で初顔合わせをしました。司会は会員で学生交流会コーディネーターの玉澤恵理さんです。ジョーンズ享子会長から、禅寺で交流会を行う目的をお伺いした後、早速ディスカッションが始まりました。
参加者達はグループに分かれてそれぞれ自己紹介をした後、オマーンと日本では家族構成や食文化、冠婚葬祭の制度がどう異なっているのかといったトピックや、日本に暮らす留学生たちが感じた文化的な驚きについて共有する等、和気藹々とした雰囲気の中で始まり、様々な意見交換が活発に行われました。
途中の休憩時間には、ジョーンズ会長手作りのオマーン国旗をデザインしたデーツケーキや、参加者が持ってきてくださったお菓子等を皆で楽しみました。住友商事マスカットオフィスから帰国中の近藤立弥さんも出席され、少し気の早いサンタクロースさながら、大きな袋を背負って登場されました。中から取り出したのは何と大袋のオマーンチップス。
交流会のために遠路はるばるマスカットから持ってきてくださったのでした。オマーン人留学生達から大きな歓声が上がったのは言うまでもありません。休憩後、グループ毎にディスカッション内容の報告が行われ、学生達はすっかり打ち解けた様子でした。
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続いては茶道体験です。日本人参加者も留学生達と共に書院に正座し、巌先生とお弟子さんのお点前を拝見。先生の英語によるご説明とご指導の下お茶をいただきました。京都から来た男子留学生は京都に4年ほど滞在しているものの、お茶の体験は初めてだととても感激した様子でした。
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書院から外へ出ると陽も落ちて夕食の時間です。参加者達は徒歩20分ほどのハラールレストランへ向かいます。日本人参加者の中にはハラール料理が初めての人もいて珍しい料理を留学生に聞きながら食事を楽しみ交流を深めました。
その晩留学生達は境内の部屋で畳の上に布団を敷き合宿、翌朝は6時に起床して部屋を清掃、7時には本堂に集合して座禅です。坐禅を初めて体験した留学生の中には気持ちがとても落ち着き、もっと長い間座禅を続けていたかったという人もいた程でした。
朝食後はオマーンクラブの柴田理事の案内で浅草へ。遠方から来た留学生には珍しい場所でしたが、都内在住の学生達は既に行ったことがあることが判明。皆で浅草散策とランチを楽しみ、プログラムは終了しました。
講演会「人生100年時代、目の輝く人に」が開催されました
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井上肇先生
ようやく秋の気配となった10月19日、日本オマーンクラブ2023年度第3回目の講演会「人生100年時代、目の輝く人に」が東京広尾のオマーン大使館で60名もの参加者を迎えて開催されました。講師は聖路加国際病院で長年整形外科部長を務められ、現在も現役として診療を続けられている井上肇先生です。
開口一番、先生は「犬はなぜ尻尾を振るのですか」と参加者に質問を向けられ、全員が頭を捻っていると「尻尾は犬を振れないから」との答え。軽く会場を沸かせたところで本題に入られました。
時代は今や人生100年時代、人生の後半に「目の輝く人に」なるにはどうしたらいいのか?過去60年で寿命は20年伸びた。これまでの世代が経験してこなかった事態にどう対応していくか?というのが講演の趣旨でした。
昔から不老長寿は人類の夢でしたが、それが現実となると寿命の伸びもいい話ばかりではなく、伸びた20年のうち半分は介護のお世話になる。その理由の約半分が脳血管障害、認知症、運動器障害。井上先生は、そうした事態などをどう防ぐか、どんな人が認知症になりやすいのかなど、皆が知りたい事柄を具体的に提示しながら予防方法をデータ等を使いながらお話しになりました。
人生後半に目の輝く人になるにはどうしたらいいのか? 先生は三項目ほど挙げられましたが、中でも老化を容認することや新たな知識や活動を求めることの重要性を強調されました。老化を容認することでストレスも消えて自律神経が安定して体調も良くなり、更に介護される身になった時には過去の自分を捨て屁理屈をこねない、介護者や介護施設に過度の期待を寄せないなど、意識改革を元気な内に行う必要があるとも説かれました。
60歳を過ぎたら10年先を見据えて医療と健康の基礎知識を身につけ、人の世話になる訓練、加齢の容認、好奇心を持って新しい発見に努め、習慣的な運動、価値観の変化についていくことが重要になるそうです。
そこで先生は「両手の会」を提唱されておられます。利き手とは別の手で字を書くことで脳を刺激し認知症予防が期待できることや、麻痺などで利き手が使えなくなっても別の手を使うことができるようになるなど、元気なうちに訓練を始め、自分自身の力でできる行為の範囲を維持し育成拡大していこうというご提案です。右の著書を出版されていて数冊ご寄付くださいました。くじ引きで幸運な会員が頂戴しました。
最後に先生は両手使いの医学 的効果について思弁的に立証されていないと仰っていましたが、卒寿を迎えられている先生ご自身がこのようにお元気であることが一番の証拠ではないかと思いました。
ユーモアたっぷりのとても貴重な講演をありがとうございました。
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ブサイディ大使夫妻を迎えて、恒例のサマーパーテイに82名が参加
8月23日、夏の高校野球の決勝戦勝敗の熱いニュースが街中に流れる中、日本オマーンクラブの4年ぶりのサマーパーテイが広尾の聖心女子大学キャンパス内にあるレストラン「ラ・メンサ ジャスミン」で82名もの参加者を迎えて開催されました。
会場にはブサイディ駐日オマーン・スルタン国大使ご夫妻、アイシャ一等書記官、イーナス二等書記官、森元誠二元在オマーン日本国大使、同久枝譲治大使ご夫妻、オマーン人留学生などをはじめ、オマーンクラブの会員、家族、友人などが参加、特に最近会員になられた若い会員の姿も多く見られ、会場は満員の盛況でした。
6時より、会員の玉澤理恵さんの司会の下、ジョーンズ会長の挨拶とオマーン人参加者の紹介に続き、森元誠二氏の乾杯の音頭で会は始まりました。
食事の後には、この日のハイライトともいえる、落語のエンターテインメント。高座の登壇者は、スウエーデン人落語家、三遊亭好青年! 彼は中央大学在学中に落語に魅せられ、落語研究会に入会。2016年に三遊亭好楽に入門し、2020年に三遊亭好青年の名をもらいました。この日の出し物は、「鶴」と「みそまめ」。日本語と英語による落語を得意とする彼の大奮闘に大きな笑いと拍手が沸き上がりました。
恒例のクイズ大会には、参加者全員が挑戦。柴田理事の出題にAzizaさんのアラビア語の通訳も交えて、オマーンのラクダのこぶの数は?日本からの最大の輸出品は? オマーンの平均寿命は?など10問の質問が出され、賞品には、故塙元在オマーン日本国大使からの半月刀であるハンジャルをはじめオマーンゆかりの豪華賞品の数々が上位回答者に贈られました。
各テーブルでのにぎやかな歓談が続く中、最後に日本オマーンクラブの名誉会長遠藤晴男氏による中締めの挨拶と、新村事務局長の三本締めで会は閉会しました。
講演会「銅鉱床探査とそれを通じて知ったオマーンという国」が開催されました
7月1日、本年2回目の講演会「私が行った銅鉱床探査とそれを通じて知ったオマーンという国」がオンラインで開催されました。講師は地質の専門家であり、世界各地で鉱物資源の探査をされてきた柴田芳彰さんです。オマーンの銅鉱床がテーマとあり現地マスカットからも複数のご参加をいただき50数名が参加されました。
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柴田芳彰氏
当クラブの理事であり三菱マテリアルテクノ㈱でご活躍になった柴田さんは、主としてJOGMEC/JICAの資源探査や鉱業関係プロジェクト(東南アジア、モンゴル、アルバニア、南米、中東)に関わられてきましたが、オマーンでは1980年~2001年の間、3回にわたるマンガン鉱床や銅鉱床の探査プロジェクトに深く関わられました。
ご講演では柴田さんが1990年代にオマーンで探査・発見された銅鉱床が最近になってオマーン企業により開発が開始されているとのニュースを交え、優れた電気導性等の銅の特性や合金としての需要など従来の重要性に加え、近年の自動車のE V化や車内の電装品など、ますます増加する銅の重要性を説明されました。そして地表からは見えない地下資源、特に銅の鉱床はどのように探査・発見するのかを中心に解説されました。
オマーン北部は紀元前3000年の昔からマガンと呼ばれており銅の産地として知られていたとか。
ソハールやヤンクルでは銅製錬の跡や製錬後にできるカラミ(slug)を今でも見ることができるそうです。
天然資源の豊富なオマーンの中でも銅資源はオマーン山脈沿いにその存在が知られており、その探査は地質調査に始まり、電気探査→電磁探査を経てボーリング掘削へと進行するとのこと。
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特に電気・電磁探査では電線を張ったり、穴を掘ってその穴に塩水を投入することが必要で、数十人の人夫を雇って、毎日炎天下作業を進めたそうです。
その間1ヶ所に約3ヶ月家を借りて滞在したそうですが、翌日すぐに作業に取り掛かれるよう準備し設置しておいた電線が夜間に盗まれたことや、コックとして雇ったインド人が前日までトラックの運転手だった人物で、「お前、料理もできるのか」と聞くと「できる、いろんな種類の料理ができる」との返事で、「どんな料理か」と聞くと「チキンカレー、ビーフカレー、〇〇カレー、✖️✖️カレー・・・」と3ヶ月毎日カレーだったこともあるそうです。人里離れた荒涼とした地域では、気候や慣習の違いのみならず、食事の点でもご当人しか分からないご苦労が多々おありだったことでしょう。それでも漆黒の闇の中で遭遇した満天の星空はとてつもなく美しく、言葉には表せない今までに感じたことのない不思議さと畏敬の念を抱かれたそうです。
最後に最近二酸化炭素の鉱物固定化として注目されているオマーンのオフィオライトに触れられました。オフィオライトとは『海洋プレートが大陸プレートに衝突して乗り上げた断片』でオマーンには世界で最も広く分布しているそうです。柴田さんはオフィオライトのスライドを見せながら「地質研究者にはよだれの出そうな場所なのです」と解説されました。
素人にはなかなか触れることのない分かりにくい資源探査や掘削など、専門的な内容をわかりやすくご説明いただき、オマーンの地質の特性を再認識させられたご講演でした。