イベント情報

4年ぶりに「イフタールの会」が開催されました (その1:首都圏)

2023-04-30

日本オマーンクラブでは 首都圏と関西で4年ぶりに「イフタールの会」を開催することができました。

首都圏のコーディネーターは玉澤恵理さんと三橋昌恵さん、関西は鷲見朗子先生と村岡静樹さんでした。下記と次のイベントのご報告をご覧ください。

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世界各国に暮らすイスラム教徒は、ヒジュラ歴の第9月(ラマダン)の1カ月間、日の出から日の入りまで飲食を断ついわゆる「断食」を行います。イフタールとは、日没後に行う食事のことで、家族や親戚そして友人などが一堂に会して、団欒のひと時を楽しみます。

日本オマーンクラブでは、遠く家族と離れて日本で暮らすオマーン人留学生に、くつろげる環境でイフタールを楽しんでもらい、また日本人メンバーとの交流の場としてお互いの国や文化に関する理解を深めてもらおうと毎年イフタールの会を開催してきました。

今年は3月23日に始まったラマダン。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり4年ぶりの開催となったイフタールの会には、オマーン出身の留学生5人と日本人メンバー5人のあわせて10人が参加。4月9日(日)に東京・渋谷区にあるアラビア料理レストラン「ゼノビア」に集まりました。午後6時すぎに断食明けを迎えると「ラマダンカリーム(恵み多きラマダンを!)」とお互いに挨拶を交わしあい、イフタールの幕開けを共に祝いました。

料理が運ばれてくるまでの間、参加者たちは大皿に盛られたデーツを一つずつ手に取りながら口に運び、甘みのつまった食感を楽しんでいました。その後テーブルにたくさんの皿が並び始めると各テーブルから歓声が上がり、スマホを使って料理や店内の装飾を撮影する留学生の姿や、初めて口にするアラブ料理に顔をほころばせる日本人学生の姿などが見られました。 

料理は全部で7品。レンズ豆を煮こんでレモンで味付けをしたやさしい酸味のあるスープと、ペースト状にしたひよこ豆のフムス、トマトとひき肉の煮込みやブルグルとひき肉の詰め物のクッベやひよこ豆コロッケのファラフェルのほか、羊肉を使ったケバブと黄色く色づけされたサフランライスなどが並び、参加者は料理に舌鼓を打ちながら会話に花を咲かせていました。 

午後9時過ぎまでおよそ3時間半続いたイフタールの会。終了後、レストランから駅に向かう途中で参加者にどんな話をしたのか聞いてみたところ、「オマーンと日本の文化の違いと共通点」や「アラビア語と日本語を習得することの難しさ」、そして「おすすめの観光地と観光に適した季節」といった話から、「オマーン発の香水ブランドが世界に進出中」といった現地出身ならではの話や「仕事と家庭の両立をどう行うか」など、日々私たち日本人メンバーも多く直面する課題を彷彿とさせるようなトピックが多くならび、より深いレベルでお互いの暮らしてきた文化を肌で理解する一歩につながる、大変有意義な会となったと改めて実感しました。 

参加者たちは駅の改札口で連絡先を交換し、しばらく会話を楽しんだ後、別れ際になるとお互いに握手をしたり、ハグするなどして再会を約束。時の歯車が再び回り始めて実現した再会と新たな出会い、笑いと新たな学びや気づきにあふれた、心温まる会となりました。この場を借りて、開催してくださった日本オマーンクラブに、心から感謝申し上げます。                 

                      玉澤恵理

今年度最後の講演会がオマーン大使館で開催されました

2023-03-09

2023年2月28日(火)、第4回目の講演会は「『世界のアゲハチョウ図説』発刊とオマーンへの昆虫寄贈プロジェクト」と題し、東京広尾のオマーン大使館で開催されました。世界の全てのアゲハチョウ(全603種)を網羅した『世界のアゲハチョウ図説』の著者である中江信さん(日本オマーンクラブ理事)と昆虫収集家の小原みね子さん(同会員)のお二人によるご講演でした。

講演の前半では、中江さんはチョウの基礎知識や世界初となる画期的なアゲハチョウ図説を発刊するまでの経緯などについて紹介されました。少年時代から昆虫好きの中江さんは、大学時代に読んだ北杜夫の本「谿間(たにま)にて」をきっかけに、フトオアゲハという珍種のチョウを捕まえてみたいと夜も眠れなくなり、アゲハチョウの収集と研究に没頭するようになったそうです。これまでもアゲハチョウの図鑑はありましたが、全種を網羅した図鑑がなかったことから世界初の図説を作ろうと自ら制作に挑みました。仕事の傍ら、50年余にわたり世界各地でチョウを採り続けた中江さん。国内外の友人の協力も得ながら、詳しい解説つきのアゲハチョウ図説を完成させるという偉業を2022年に達成されました。この偉業は蝶柄のデザインで有名な世界的デザイナーの森英恵さんからもたたえられ、完成時にメッセージが寄せられています。

 講演の後半は、中江さんが収集した蝶類標本と小原さんが収集した昆虫標本の合計7000頭(「とう」と数えるそうです)を、オマーン国立博物館へ寄贈するプロジェクトについて、お話しされました。

このプロジェクトの目的は二つあり、一つは、砂漠が多く昆虫採集という文化をもたないオマーンの小中学生の生物学教育に有効活用してもらうこと、もう一つは、ほかの中東諸国にはない昆虫標本を観光資源として役立ててもらうことです。小原さんは、オマーンでの交渉活動や昆虫採集の様子などについて、現地の方々とのあたたかい交流も含めてお話しされました。また、オマーンの国王府(日本の宮内庁にあたる機関)を通じてブサイナ王女(生母が日本人・蝶柄が大好き)に両国の友好の象徴となる2頭のアゲハチョウを贈呈したところ、最高のドレスを着て国王府を訪れるよう急に呼ばれ、王女直筆の感謝状を頂いたエピソードなども紹介されました。

会員の活動の集大成を両国友好の証にすべく、日本オマーンクラブの遠藤晴男名誉会長も現地で一緒に蝶々を採りながら交渉した結果、7000頭のコレクションの半数を新しい国立博物館に常設展示、半数をオマーン国内で巡回展示することで合意に至り、プロジェクトは軌道に乗ってきました。これを機会に、日本人の昆虫収集・研究家が世界各国をチョウのように飛び回って集めた迫力あるコレクションの実物を、多くの方に是非現地オマーンを訪れてご覧いただければと思います。

講演終了後には、オマーン大使館のご厚意により、デーツとクッキーにコーヒーがふるまわれ、参加者は久しぶりに対面で親睦を深めることができました。多彩なメンバーを擁する日本オマーンクラブの活動が、両国の友好の懸け橋となっていることを強く実感できる講演会となりました。

謹賀新年

2023-01-01

 

明けましておめでとうございます。
皆様におかれましてはお健やかに新しい年を迎えられたこととお慶び申し上げます。

日本オマーンクラブの活動はここ暫くはリモートが中心でしたが、秋には二年ぶりにオマーン大使館で対面での講演会も開催できるようになりました。本年はリモートと対面の両方の利便性を活用し、皆様と共にオマーンとの友好関係を更に深めていきたいと願っております。

本年も皆様のご支援ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

日本オマーンクラブ
会長
ジョーンズ 享子

オマーンから帰国間もない講師による講演会が開催されました

2022-12-15

2022年度第3回目の講演会が11月26日(土)にオンラインにて開催されました。

(村岡静樹氏)

講師は、現在京都大学修士課程で言語学を研究されている村岡静樹さんで、演題は「オマーンつまみ食い講座~暮らしと言葉~」です。

村岡さんは、クウェート政府奨学金留学生を経て、京都大学文学部をご卒業後、在オマーン日本国大使館に専門調査員として勤務され、今年の10月に3年ぶりに帰国されたばかりです。

冒頭に、ご専門の言語学について述べられました。私たちの日々の何気ないことばに奥深い仕組みが潜んでいること、言語・方言の区分一つとっても一筋縄ではいかない難しさがあることを説明されました。続いて、オマーンと近隣諸国の様子を、共通性と多様性に注目しながら、最新の写真とともに伝えていただきました。

講演のメインでは、架空のオマーン人キャラクターの一日を追う形で、日常の「ことば」を切り口に、オマーン人の暮らしと社会、文化の諸相を、かわいらしいイラストを添えて楽しくレクチャーしていただきました。

「クンマ」(円筒帽)「ハンジャル」(短刀)をはじめとする民族衣装にまつわる表現や「おはよう」「ありがとう」などの挨拶、また子どもがものを選ぶときの「ど・れ・に・し・よ・う・か・な……」などについては、現地で生活された研究者ならではの生き生きとした解説をうかがうことができ、聴衆一同オマーンへの理解が深まりました。

「マー・カッサルタ!」というお礼のことばは、文字どおりには「あなたは短くしなかった、おろそかにしなかった」という意味なのですね。今度オマーンの友人に使ってみたいと思います。

「シーシャ」(水たばこ)という単語を「ガソリンスタンド」という意味で使ったり(車がガソリンを吸っているということのようです)、「大学の新入生」を「おのぼりさん」とからかったり(大学構内できょろきょろしている様子をさすそうです)するなど、こちらの想像力を刺激するような比喩表現もたくさん飛び出しました。

直接目で見ることのできない、オマーン人の精神世界にも近づくことができました。例えば、天気予報の末尾に「神はもっともよく知り給う」と書かれていたり、喧嘩で相手をののしる表現にすら信仰が垣間見られたりするように、宗教が非常に身近なもののようです。あわせて、風刺画や街角の写真を題材に、教育観、偉人観、時事問題に対する世論を紹介していただき、改めてオマーン人の目に世界がどう映っているのかについて思いをめぐらせる貴重な機会となりました。

ところでオマーンの男性が「内務省」といえば奥様のことを指すそうです。日本の「大蔵省」よりも力強そうな響きがあり、おもしろく感じました。質疑応答では、結婚相手との出会い方や、オマーン人が日本人や中国人、欧米人をどのように見ているのかなどの質問もあり、あっという間に講演会は終了してしまいました。

参加者の方々からは、「また続きが聞きたい」「言語学者の観点からのコメントやちょっと辛口の語り口が面白くてとても良かった」「おかげでまたオマーンが近づいたような気がしました」などなど多くのコメントをいただきました。

 

 

 

塩尻和子先生がグシ国際平和賞 (Gusi Peace Prize International) 受賞

2022-12-12

 

本年11月24日に当クラブの会員で筑波大学名誉教授の塩尻和子先生がグシ国際平和賞 (Gusi Peace Prize International) を授与されました。グシ平和賞は、第二次大戦 抗日戦争ゲリラの英雄 Gemeniano Javier Gusi 氏の遺志を継ぐ趣旨で創設され、様々な分野で世界の平和と進歩に貢献した人、或いは、団体に贈られる賞です。

授賞式での塩尻先生

イスラーム研究の権威であられる塩尻先生は「平和的な宗教間対話の推進とイスラーム理解」に貢献されたことで受賞されました。受章盾の一番下にはフィリピン大統領の署名もあり、グシ平和賞の日本人受賞者は塩尻名誉教授が6人目だとのことです。

授賞式のために初めて訪問されたフィリピンでは行事がぎっしり、その上まるで昼夜を問わない「大騒ぎ」で、体力的に大変だったそうです。それでもフィリピンの社会に大変興味深い印象を持たれたとのことです。

ご受賞、おめでとうございます。

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